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09

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ホテルレインボー(連載9)
どんなに頑張った所で、寒いことには変わらない。それに逆らえば、また笑いがこみ上げてくる。最悪な状態だった。「温かい、そばやうどんが食べたい」普段は思わないのに強く思った。海岸線には小さなドライブインのお土産屋やレストランが立ち並んでいるけれども、濡れた格好でも招き入れてくれる好都合な「立ち食いそば屋」なんてものは見当たらなかった。

「駅にあるような立ち食いそば屋は・・・」この辺りは観光地だと途中で気が付いた。凝りもせずに「最悪はレストランだな」と思いながら、道を進むと一軒のドライブインを発見した。しかし、そこはまだ営業が始まっていなかった。

そうこうしているうち、再び山間部へ突入してしまい、建物は一軒も見当たらなくなってしまった。両脇の丘に緑の景色が永遠と続く。綺麗なんだけれどもどうでも良い事だった。「なんて最悪な日なのだろう!」

さらに走り抜けると、再び海と建物が見えてきた。「そうだ ラブホテルだ!」「とにかく、この濡れて凍え切った状態から早く抜け出したい!」時々見かける建物を横目に「あっ」と思うけれども、どれも洒落た旅館ばかりだった。「千と千尋の神隠し」のように煙突から昇る湯けむりが恨めしくさえ思えた。

さっきも書いた様に、この辺りは観光地である。「ラブホテル」がある分けがない。「地元の奴は、どうしているのだろう?」「旅館と言う訳には行かないだろう!」「旅館じゃ値段が高すぎるし、不倫旅行みたいだ・・・!」どうでも良い事だったが、そんな事ばかりが頭を過ぎっていた。

そうこうしているうちに、また、建物が一軒も無くなってしまった。「こうなったら金額の問題ではない。」多少値段が張ったとしても「とにかく風呂に入りたい!」「旅館でもいい!」そう強く思った!

トンネルに入ると、雨の攻撃が治まり、その間だけは、暖かくて心地が良かった。雨が当たらないので顔も痛くない。滑る路面を気を付ければ、後はとても快適な場所だった。しかし、そう都合が良い物ではない。どのトンネルも距離が短くて、直ぐに雨風の強い吹きっ晒しの中へ放り出されてしまう。

次のトンネルが見えて来た!「今度ばかりは、長いトンネルでありますように!」そんな願いも儚く入る手前から出口が見えていた。しかし、そこを通り抜けた瞬間、ついに「モーテル」を発見したのだ!



思わず見過ごす所だった!トンネルと隣接しているすぐ左側にあるので少し行き過ぎたが、徐行。反対車線を横切ってバイクを旋回させて、勢いに任せてモーテルの入り口をくぐった!

「ホテルレインボー!」「レインボウ」とは名ばかりだ!一番手前の囲いの中の客室のを選び、玄関と隣接した駐車場にバイクを止めた。

部屋の入り口の戸はベニアで出来ているのだろうか?木が腐っている。建物は戸にかかわらず、全体が水色の原色のペンキで塗りたくってあった。老朽化を隠すために、趣味の悪い原色ペンキ塗っただけのホテルレインボー!

荷物をバイクに付けたままで部屋に入ると、今度はキナ臭い、カビの匂いが襲ってきた。しかし、今は贅沢を言っている場合ではない。

半畳も無い玄関でブーツを脱いで逆さまにすると、水がバシャバシャと音を立て落ちた。「こんなに水が入っていたんだ。」レインコートも脱いで部屋に上がると、左側半分がガラス張りの浴室になっていた。

部屋の入り口付近にはちょっとしたスペースがあり、ソファーとガラステーブル、小さな冷蔵庫、そして、VHSのビデオ数本が入った小さな棚、その横にこれまた小さな16インチのビデオ付きTVが設置されていた。さらにその横に軽食とコンドームの小型自動販売機がある。ここは、食べ物も衛生用具も区別が無いようだ。ベッドは奥に壁にくっ付く様に置かれていて、共に真っ赤な色をしていた。

「とにかく風呂だ!」しかし、浴槽を見て愕然とした。

風呂桶はコンクリートで作られた高さ5~60cm程の台に乗せられていていた。その上に野菜を洗う透明ボールのような物が浴槽なのだ!

とことん趣味の悪いモーテルだ!しかし、贅沢は言ってられない。透明ボールの浴槽にシャワーのノブを突っ込み、給水用の蛇口と共に栓を全開にしてお湯をためた。



玄関を入ると正面に、一人用の木製のサウナが作り付けてある。利用金額は、確か20分100円だったような記憶がある。自分のカバンの中と、部屋にあった、ありったけのハンガーを持ち出し、玄関のあちらこちらに濡れた衣服をつるして乾かす事にした。

洗面所から玄関までコード一杯にドライヤーを引っぱり、ブーツの中に突っ込む。やっと一段落付いた。これで暖かいお湯の溜まった風呂に入れる!

お湯は透明ボールの浴槽から、湯気を立てて溢れ出していた!換気扇がガラガラと煩く鳴り響いていたが、これも壊れているのか?広い浴室には白い湯煙が充満してとても見通しが悪くなっていた。

浴槽の乗せられた高台に上り、肩足を湯の中へ漬けたがすぐに引っ込めた。「ものすごく熱い!」極度に冷え過ぎているからだ。足をお湯の中に漬けたり引いたりを何度か繰り返しているうちに、徐々に熱さに慣れてきた。

両足で浴槽の中心に立つと、深さはふくらはぎ程度しかない。このホテルはバランスが悪い不便なものばかりを取り揃えている気がした。

これを書いていて気が付いた事がある!その不便な風呂は、ゆっくり浸かる為の物はなくて、体をくねらせて入る女性を外から見て楽しむものだったに違いない。

浅い透明ボールの中へ、少しずつ腰を落として湯船に沈んだ。体制を色々と工夫すると首までお湯に漬かる事ができる。しかし、ありえない格好をしている。上向きになったりうつ伏せになり、全身を暖めるのにとても苦労する。

お湯が派手に外に零れ落ちるのも気にせずに、シャワーのお湯は出しっぱなしで手に持っていた。30分もその中に浸かっていると、ようやく体が温まり始めた。途中でうたた寝をしながら1時間半はその中に入っていただろう!

このホテルの休憩の基本料金は最初の2時間までで、その後は延長料金となる。極度に眠くて、疲れ方もピークに達していた。「もう暫くはここに居よう」そう思いながら浴室に取り付けられていた時計を見上げた。


ホテルレインボー

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